モバイルファースト

モバイルファーストという考え方
最近インターネットで「モバイルファースト」という言葉をよく目にする。
これは、製品デザインのコンサルタント会社・「LukeW Ideation & Design」のデザイナー兼設立者であるLuke Wroblewski (ルーク・ウロブルスキー)氏が提唱した、モバイルを中心とした1ソースでマルチデバイスに対応するコンテンツ作りを心がけようというものだ。
もともとホームページはPCサイドから設計され、後にiモードの登場で携帯用に設計されたコンテンツがPC用とは別途作成される方法が主流となった。
携帯端末からアクセスがあった場合、ユーザーエージェントで振り分けるという形で、インターネットの骨格はほぼ固まったかのように思えた。
 
スマートフォンの登場で大きく変貌するユーザービリティー
スマートフォンの普及により、旧来の携帯・ガラケーは近い将来、無くなるとさえ言われている。
スマートフォンはPCサイトがそのまま閲覧できるが、機能や操作に関してベストといえない部分も否めない。
そこで、スマートフォン用のWebサイトをまた新たに作成するECサイトが続出したが、ここへきてGoogleのレスポンシブWebデザイン推奨発表を受け、コンテンツ作りの根本的見直しが迫られている状態だ。
レスポンシブWebデザインは1つのソースを、閲覧するデバイスのサイズによってCSSで振り分ける技術だが、モバイルファーストと大きく関わりを持つものである。
モバイルファーストの本質は、旧来のPCサイトをまず作り、それにあわせて携帯用・スマホ用を作るのではなく、モバイルを中心に考えながら、機能やレイアウト・文章を構築しようという考え方だ。
文章が長文だと携帯表示で見づらいし、画像やJavaScript・フラッシュなど様々な点においても配慮と工夫が必要となってくるのである。
 
レスポンシブWebデザインを否定する
前述のようにレスポンシブはソース元が1つなので、様々な弊害が予想される。
コンテンツを作成する上でJavaScriptは必要に迫られる場合もあるし、PCなら大きな画像での図解なども可能だが、ガラケーとなると一部JavaScpiptが機能しないものや、大きな画像の表示は無理な話である。
逆に携帯ならではの機能として、電話発信がある。
aタグ属性「tel」だ。しかし、これをPCでクリックしてしまうとエラーになってしまう。
また、iphoneでは連続する数字の文字数によって、勝手に電話発信のリンクがついてしまう。
いい例が郵便番号だ。何もしないでそのまま111-1111とすると、郵便番号に電話発信のリンクがついてしまい、タップすると当然「Not Found」となってしまう。
htmlに「a href = “”」がつくわけではないが、iphone特有の機能である。
PCで作成作業をしていると、こういったところも見落としがちとなる。
他にもあるが、Webサイトはブラウザに依存する割合が多く、ソース元を1つで管理する事自体に無理があるのだ。
本当の意味でユーザービリティーを考えるならば、PC・ガラケー・スマホ用は、それぞれ独立させて作成すべきなのである。
そうする事によって、モバイルファーストだけでなく、PCファースト、ガラケーファースト全てを実現できるのである。
レスポンシブWebデザインは、Googleが誤って重複ページ扱いしないようにする為の確実な手段だが、これはユーザービリティーではなく、「検索エンジンビリティー」であるという事を認識すべきで、ベストな方法とは到底言えないものである。